[特別講演 1]

糖尿病モデル動物研究の歩み

   後藤 由夫 先生      
(東北大学名誉教授・東北厚生年金病院顧問)
1.実験的糖尿病

 実験動物に高血糖状態を起こさせる試みはClaude Bernard糖 刺にはじまるが、これらはいずれもヒトの糖尿病ではいわゆる2次性糖尿病に該当するものであり、これによって高血糖状態の病態、とくに生化学的異常に関する多くの知見が得られた。また急性、慢性合併症の病態解明にも役立っている。

2.自然発病糖尿病動物

 肥満高血糖マウスの発見以来数多くのものが見出されている。とくに日本で作られたものが多い。

3.糖尿病動物の臨床への示唆
  1. 成因の多様性
  2. 原因遺伝子
  3. 病態、経過の多様性
  4. 自己免疫糖尿病の発症機構と治療
  5. 慢性合併症の多様性

二次性糖尿病と実験糖尿病の対比

誘起事項 臨床報告 実験糖尿病
1788 Clowly
 膵石併発糖尿病
1889 von Mering Minkowski
 膵全摘犬の糖尿病
下垂体 1878 Cuningham
1889 Marie P.
 先端巨大症発糖尿病
1937 Young
 下垂体エキス投与犬糖尿病
甲状腺 1987 Grawitz
 バセドウ病併発糖尿
1944 Blum F
 病膵部分切除甲状腺未投与犬糖尿病
副腎 1913 Helly C
 喝色細胞腫併発糖尿病
1901 Blum F
 エキス皮下注犬、兎の糖尿
副腎 1942-3 Albright F
 クッシング症候群併発病糖尿病
1941 Ingle DJ
 ラットのステロイド糖尿病
1977 Larsson L I
 ソマトスチノーマ併発糖尿病
 
ウイルス 1979 Yoon J- W
 コクサッキーB4糖尿病
1968 Craighead JEMcLaneMF
 EMCウイルス接種マウスの糖尿病


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